Manga Generator について

Manga Generator とは

MangaGeneratorは少年マンガの世界に入り込みたいという、少年のようなアイデアから生まれた没入型エンタテイメントシステムです。マンガの世界に入り込み、制限時間内に主人公やヒーローとしてポーズを取ることで、世界に一つだけのオリジナルマンガが生成されます。

そして、生成されたマンガは体験終了時にその場で印刷され体験者へと手渡されます。キミもヒーローになってオリジナルマンガを作りましょう!

国際学生コンテストIVRC2012を発端に提案された「Manga Generator/瞬刊少年マルマル」と鳥取県まんが王国とっとりがコラボレーションしました。

世界的に著名な鳥取県出身の漫画家、谷口ジロー先生・水木しげる先生・青山剛昌先生らの作品とコラボレーションしました。世界最先端のインタラクティブ技術をマンガとコラボレーションさせ、フランス・台湾で開催されたJapanExpo(25万人規模)・台湾漫画博覧会(70万人規模)などの展示会で大好評を得ました!

メディア芸術としての意味は、Manga Generatorは少年マンガの世界に入り込みたいという少年のようなアイデアから生まれた没入型エンタテイメントシステムであり、プレイヤーが自分の思うようにマンガの世界で活躍し、その活躍を印刷して持って帰ることができることです。

Manga GeneratorはVRの新しい形であり、新しいメディア芸術の形でもあります。VRは本来、自分の実現したいことをコンピュータの力を借りて実現するものですが、この作品はマンガの世界に入りたいという実在しないものに、現実に入り込むことができるという意味でVRとしても新しい点が評価されています。

一方マンガは日本を代表するメディア芸術であることは間違いありませんが、読み・消費するだけのメディアでは、この後の衰退は見えています…私たちは、マンガを「体験可能な経験」「ゲームを超えた持ち帰れる広告メディア」として生まれ変わらせるためのフリープレイで、地域振興を実現するメディアアート作品に取り組みました。

Manga Generatorの裏側の技術・しかけの紹介

姿勢評価関数「KinEmotion」

姿勢評価関数「KinEmotion」はMicrosoftのKINECT for Windowsにより得られた人間の骨格情報をもとに、体験者の関節の角度を計算し、体験者のポーズを評価しています。これにより、ポーズに合わせたマンガ効果の自動選択を可能としています。 また、言語的ではない入力となるため、国際フィールド試験ができる可能性もあります。 論文 小出雄空明「マンガ没入型エンタテイメントシステムの可能性」電子通信学会,pp208-211,2013 特許 「姿勢判定方法,プログラム,装置,システム」特開2013-37454

感覚運動遊び(Sensory Motor Play,sensorimotor play)

感覚運動遊びとは、身体を動かしているだけで「楽しい」と感じる”遊び”であります。ピアジェ発達心理学によると「生後から1歳半〜2歳くらいまでの遊び」と示されています。人間が認知(視覚不要)し、脳からの信号により筋骨格を動かすことで外界の操作ができます。つまり誰にでもできる「楽しい」遊びになります。言語に依存しないため、国際的にも通用するものでもあります。 WiiやKINECTを代表するように、国際的なゲーム産業プラットフォームにおいても利用されています。 Manga Generator においては体験中の「必殺技」のポーズや普段しないヒーローポーズなどをとらせることで感覚運動遊びを体感させています。世界観やセリフ、吹き出しの形状などからアクションの創発を誘導しています。以下の画像の通り、4カ国でも同様に大胆なポーズへ誘導できていることがわかります。

1枚のマンガで世界観を構築

体験者が自然な流れでポーズを取れるよう、1枚のマンガのなかで世界観を構築する必要があります。そのために序盤・中盤・終盤に最適化を行っています。 序盤:ストーリー上の体験者の役回りを伝えるために、ナレーションとセリフによってストーリーの目的と状況を伝えています。 中盤:アクションの創発を誘導するため、セリフと吹き出しを激しくしています。これにより、感覚運動遊びを体感させます。 終盤:オチを一直線ではなく少しひねり、さらに勝ち負けを示さないことでキャラクタのイメージを損なわない終わり方にしています。

絶対に失敗しない設計

あらかじめストーリーを設計することにより、開発者の意図からぶれることのない設計となっています。さらに、ナラティブがレールに沿っていてもインタラクティブ性や自由度,クリエイティビティを維持可能となっています。 感覚運動遊びにはアゴンや勝ち負けの要素が必要ではないため、勝ち負けを示していません。これらによって舞台やキャラクターの印象を破壊しないうえ、「失敗」や「負け」というネガティブな印象を体験者に与えないようになっています。

体験者へのフィードバック

姿勢評価関数「KinEmotion」を利用し、体験者のアクション性の評価という形で、フィードバックを返しています。体験にインタラクティブ性を持たせ、さらにゆるいアゴンを設定できます。

広告としての可能性

自分が生成したオリジナルマンガが”その場”で印刷され持って帰れるというのは、クリエイティビティ、ノベルティ、オリジナリティを実現しています。印刷面の裏面には、許諾された「マンガ雑誌表紙風(イベント情報などの広告)」が印刷されています。自分が出演している世界で一つだけのオリジナルマンガであるため捨てづらい広告媒体としての価値があります。